こらない

2005-02-02 (水)

『演劇入門 / 平田オリザ』

『演劇入門 / 平田オリザ』読了。
青年団を見たことはないのだけど、どこかのサイトでこの本のことを「面白い」と書いてあって自分の「読んでみようリスト」にメモしてあったので読んでみた。

「戯曲を書く」というところを入り口とした内容で、冒頭で「ハウツー本だ」と言い切られている。
「後世に残るような傑作を書くための」ではなく、大工が家を建てる際に必要な「技術」同様、教え教わることのできるもの、としてまとめられている。

リアルとは何か(あるいはリアルでないとはどういうことか)、を順に解き明かしていくのだけど、この「リアルでないとはどういうことか」をアタシの言葉に置き換えると「恥ずかしいと思うのはなぜか」ということだ。
アタシはよく「芝居を見るのは苦手」と書くのだけど、それは舞台の上で与えられた台詞をしゃべっているというだけでもう恥ずかしいから。
でも、いくつかの劇団の芝居は好きで見逃さないようにしているわけで、それはつまり見ていて恥ずかしくないから。
きっちり隅々までウソをついてくれていないと、ダメなのだ。

その「きっちりウソをつく」というのと、この本で書かれた「演劇においての『リアル』」がどうやら近いもののよう(ウソとリアルが同義だなんてね)。

ほんとの「リアル」をステージ上でやってもそれはリアルではなく、かといって「お芝居」としてウソを演ずればそれはリアルではなく、じゃあリアルって何?ってなところから、コンテクストという話へ。
ふむふむ。

家の中にちゃぶ台のようなテーブルのようなものがあったとして、夫はそれを「ちゃぶ台」と呼び、妻はそれは「テーブル」と呼ぶ。
これがコンテクストのズレ。
アタシが結婚後「他人」と暮らすようになっていちばん面白いのがこの「コンテクストのズレ」だ。
ある日アタシがハンバーグを作り、お互いにひとりひとつずつ皿に盛りつけたところ「わー、ハンバーグ作ってくれたんだー、ありがとー」と言いながらも妻は浮かない顔。
「何か不満が?」と訊くと「うちではいつもハンバーグはふたつずつだったから…」と・笑。
こういうズレをひとつずつ解消したりそのズレに慣れていったりして、新たなコンテクストを作っていくというのが結婚生活というものなのかもね。
…何書いてんだアタシは。

いやでも、このコンテクストの話はいろいろと面白かったです。

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