こらない

2005-12-05 (月)

2005-11-28/2005-12-04: 流山児★事務所『SMOKE〜LONG VERSION〜』

流山児★事務所『SMOKE〜LONG VERSION〜』@下北沢ザ・スズナリにイッテキマシタ(2005-11-28)、イッテキマシタ(2005-12-04)。

作・音楽はケラリーノ・サンドロヴィッチで、以前全労済ホールで上演された短編『SMOKE』のロングバージョン。
演出は少年王者舘天野天街。
芸術監督に流山児祥。
芸術監督ってなんだろう?

ケラさんの芝居は面白い。
この面白さを100とする。
天野さんの芝居も面白い。
この面白さも100とする。
で、今回の『SMOKE』は、100+100=100、というのがアタシの感想。
「100」分の満足は得られたのだけど、かけ合わさっての相乗効果、というところまでは行かなかった気がする。
それぞれ(+流山児)の番外公演として見るのが正解かも知れない。

以下、ネタバレがあるかも。

チラシに「あいのり」「ラブワゴン」といった単語があったのだけど、実際にそのまま「あいのり」「ラブワゴン」の話。
「あいのり」というテレビ番組があるのと、その番組は「ラブワゴン」というバスで外国を移動しながら男女が結ばれたり振られたりする、ということは知ってるけど、1度も見たことがない(芝居では、ではなくてアタシが)。
正確に言うと、1〜2分くらいは見たことがある。

どこだか分からない禁煙(NON SMOKE)の島に辿り着いたラブワゴン。
ケラさん脚本によるトンチキな台詞と、天野さんの演出による「いるのかいないのか分からない人」が混ぜこぜになりながら、最後は火事(SMOKE)の中、みんなで輪になって死人のワルツを踊る。

ケラさんの描く善悪の無区別と、天野さんの描く存在の無区別。

28日観劇の後、シベリア少女鉄道主宰の土屋さんと、毛皮族主宰の江本さん、そして天野さんを流山児さんが迎えてのトークショー。
演劇に分類されながら、演劇という枠にしばられておらず、でも形だけ見たらどこからどう見ても演劇で、でも本人たちは演劇をやってるとはつゆも思ってないのではないか、と思われるグループの代表格3人。
別の言い方をすると、「演劇というのはこういうものである」と意識的あるいは無意識的に思っている人から「こんなのは演劇じゃない」と怒られ貶(けな)され無視される劇団の日本代表の3人。
そんな3人に対して、シベ少の芝居も毛皮族のステージも見たことがない流山児さんが「演劇とは!」を問う異色のトークショー。

「“アングラ”というものがあるならば…」「若い人たちによるこれからの演劇とは?」「演劇、それすなわち人が生きるとは…」といったお題が次々に繰り出されるのに対し、「そー…ですねぇ」と相づちをうちつつ「江本さんはどうですか?」と逃げる土屋さんと、なんとか大人の答えを絞り出す江本さん。

トーク後、観客からの質問を受ける形に。
その中で「ケラ×天野というより、王者舘の芝居を見ている感じでした」という女性の発言があって、ちと意外。
アタシの感想は逆で、いかにもケラさん脚本の芝居を見た、って感じでした。

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