こらない

2005-02-18 (金)

NHK「あなたは人を裁けますか」

テレビを点けたらNHKスペシャルで「あなたは人を裁けますか」という番組。
2夜連続だったらしいのだけど、その2日めのもの。
何の番組かと思ったら、数年後に始まる裁判員制度の番組だった。
一般市民が裁判に参加し、「有罪」とか「無罪」とか決めるというあれ。
詳しくは以前の記事へ。

こらない:裁判員制度

番組には、裁判所の事務総長、検事総長、そして弁護士会会長という、「裁判長」「検事」「弁護士」それぞれのトップが並んで座っていて、これはテレビでは「初めてのこと」だとか。
これに「一般市民」の代表が、模擬裁判を行なった後、いろいろ「素人なりの質問」をぶつける、という形式。

模擬裁判を具体的に「たいへんだな」と思ったのは、量刑。
有罪にするか無罪にするか、執行猶予をどうするか、情状酌量の余地はあるのか、というところまでの「たいへん」はぼんやりと想像していたのだけど、例えば「有罪」と決めた場合、今度は「懲役何年にするのか」も決めなければならない。
3年か、3年半か、4年か、5年か…。
難しいよなあ。

ちなみに、陪審制は「市民が」で、参審制は「プロと一緒に」らしい。
日本が行なおうとしているのは参審制。

番組では、その道70年だというイタリアを取材。
法廷の角に、ちょっとコメディー映画のような檻があり、その中に被告。
日本の裁判員制度ではひとつの刑事事件を担当することになるらしいのだけど、イタリアの場合は「任期3ヶ月」で、その間複数の裁判を担当する。

日本での裁判員制度、それ自体はアタシは賛成なのだけど、この話を耳にしてからいまいち飲み込めていないのが「どうして裁判員制度にするの?」の部分。
「日本も陪審員制度のような形が必要だ!」という声がどんどん高まり…といった感じではないので(アタシが知らないだけかも知れない)、「どんな裏が?」と深読みしてしまう。
「今度はどんな悪いことを企んでるんだ?」と。
司法の3つのトップが並んで番組に出ているところからしてなんだか怪しい、とか。

なのだけど、番組を見ているうちに、司法の現場ってのはあっぷあっぷなのかな、とちょっと思った。
裁判長だけ(だけなのかどうか分からないけど)の判断で、「その時代その時代」に即した決断を下していくのは限界なのかな、と。

番組内ではこのあたりに関しては、「開かれた司法」とか「透明性」とかあるいは「市民参加」という言葉で説明されていた。
それはそれで分かるのだけど、「これまではどうしてこのような制度だったのか」「これからはどうしてこういう制度がいいのか」を絡めた司法業界(?)内のドキュメントなど、見てみたい。

番組最後、裁判所の事務総長が言っていたのが「番組のタイトルの『人を裁けますか』っていうのはちょっとズレていまして、裁くのは人ではなく、いや最終的には人なんですが、まずはその行為(事件)なのです」ということでした。

2005-02-18 (金) UP

コメント