こらない

2006-11-28(火)

冷蔵庫の基礎知識

冷蔵庫について調べてみた。
いろいろ分かった。

まず消費電力量。
これは、JIS(C9801)で測定方法が定められている。
「1日に扉を25回開け閉めして、周囲の温度が25度の場合の年間消費電力量」のような感じ。
ちなみに、この測定方法は、欧州を基準とした国際規格を元にしているらしい。

さてこのJIS規格、冷凍室と冷蔵室に関しての規定しかない。
一瞬それでよいような気がするけど、実際には今の冷蔵庫には「野菜室」だの「製氷機能」「霜取機能」などがついている。

で、冷蔵庫の消費電力量を測定する際、上記のような「野菜室」「製氷機能」「霜取機能」といったものは全てオフの状態(つまり、規定されている冷凍室と冷蔵室だけの状態)で、行なうらしい。
えー。

そうすると、JIS表示では「260kWh/年」であるものを、実際に使ってみたら「642kWh/年」だったり、ということが起こる(→消費電力 表示の3倍!?/冷蔵庫カタログ 実態と違う/JIS規格 一部通電せず試験)。
誤差程度じゃなく、何倍も違う。

「なんじゃそりゃー?!」ということで、件のJIS C9801が改正され、今年2006年5月より表示(測定方法)が一新(→日本工業標準調査会:ニュースとお知らせ-冷蔵庫の消費電力量の表示について)。
ちゃんと実用に即したものになったようです。

例えば、

  • 「周囲の温度25度(×365日)」だったものを「30度×180日、15度×185日」換算へ。
  • 「水入りペットボトル」などを入れたり出したりして測定。
  • 冷蔵庫の周囲の空き(壁との隙間)を、30cmから5cmへ。
  • 自動製氷等の機能をオンにして測定。

といった感じ。
以前は、壁から30cm離しての測定だったのね。

これによって、例えば旧JISでの年間消費電力量が170kWh/年(3,740円)だった冷蔵庫は、新JISでは670kWh/年(1万4,740円)へ。
他の機種の数字も含めてざっと見てみると、3〜4倍になったみたい。

さてしかし。
理想的な条件で、冷凍庫と冷蔵庫しか使わないのであれば、旧JISの数字に近づくはず。
それがどうして3〜4倍にまでなってしまうのか。
それはつまり、付加されている方の便利機能が、やたらと電力をくっているから。
どうやら冷蔵庫は、“冷やすだけ”ではなく、“温めてもいる”のでありました。

今の冷蔵庫には「野菜室」というのがあって、3度だか5度だか7度だかって温度をきっちり保ってくれる。
「きっちり保つ」ってことは、冷えすぎたらヒーターがオンになる、ってこと。
そうかー。

自動製氷っていうのは、タンクに水を入れておくと勝手に氷ができるわけだけど、タンクから製氷皿へのホースには、凍結防止ヒーターが。
はー。

自動霜取りってのも同様で、自動的に冷凍庫のヒーターがオンになって、霜を溶かして、そして再度冷凍機能がオン。
それはもう、何度も何度も行なわれているっぽい。

そいえば、冷蔵庫の扉のパッキン。
あそこにも確か電熱が入ってたよなー。

全然気にしてなかったけど、便利な冷蔵庫ってこんなに不合理だったんね。
真ん中を冷やして、その周りを温めて、その周りを冷やして、その熱を外へ放出して、その部屋をクーラーで冷やして……って、なんだか不合理のマトリョーシカ状態。

「冷やしすぎちゃいけないところがあるから、そこをどうにかしたい」っていう問題に対して、「ヒーターで温める(その分さらに冷やす?)」って答えは、萎えるよなあ。
「なに? そんなうまい方法で実現してるのか!」っていう素敵な解決法、ないんですかねえ。

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