こらない

2007-02-20(火)

『愉しい非電化 / 藤村靖之』

昨年読んだ本の中で1冊をあげるとすれば、『愉しい非電化 / 藤村靖之』。
「それって、電気使わなくてもいいんじゃない?」「っていうか、電気使わない方がよくない?」といったいろいろな“非電化製品”“非電化提案”がたくさん。
優しい語り口と、数々のアイデア、その根底にあるいろいろなおかしな数字に、かなりわくわくしながら読みました。
やー、ほんとに面白かった。

『食品の裏側 / 安倍司』 - こらないと共通するんだけど、今はいろいろ便利になりすぎて、その便利のためにどれくらいの無駄が生じているのかが見えない。

例えば、食器洗い器ってのがある。
手で洗うとバケツ1杯分の水が必要だとして、代わりに食器洗い器を使うと、お風呂100杯分の水が要るとしたら、アタシはたぶん使わない。
でもどうやらそんなようなことが身近にたくさんあるみたい。

先の例で、お風呂100杯分の水道代が50円だったら、何も気にせず使う人も多い、かな。
アタシもそうだった、かも。

というのも待機電力。
たぶんテレビの節約番組か何かで「こまめにコンセントを抜けば、月々○円お得!」などと言っているのを見たんだと思う。
それを見て、「○円なら、コンセント抜かない方が、めんどくさくなくてお得じゃん」と思った。
もっといぢわるに「コンセントを何度も抜き差しして、コンセントケーブルが壊れたら、そっちの方が損じゃん」と思ったかも知んない。

お金で釣るのがいちばん効果がある、ってことなのかも知れないけど、それって「お金があれば解決できる」ってことになっちゃう。
なっちゃってた。

けど、例えば携帯電話の充電器。
これも待機電力を消費してて、その消費量は、実際に携帯電話に充電された量の8倍以上(著者の実験による)。
それが電気代に換算すると5円なのか50円なのか500円なのか知らないけど、なんかそれムカツく!

電気は発電ロスがある、送電ロスがある、それを光にした場合8割以上が熱となり、光として使っているのは蛍光灯の場合でも20%だとか。
発電所でのエネルギーを100とすると、実際に光として使えてるのは2〜7くらいみたい。
これが例えば「本を読むための光」だとして、本のページさえ照らせばいい、ってことできちんと計算すると、蛍光灯でさえ、一次エネルギーの1/6,000くらいしか使用してないらしい。

原子力発電はんたーい! と強く思うのだけど、ちょっと部屋を照らすだけでこんなに効率の悪いエネルギーの使い方をしてるかと思うと、ちょっと。

効率の悪さでいえば、以前書いた電気掃除機。
畳やフローリングなら、ホウキではけば済むところを、もんのすごいワット数のものすごい吸引力の重たい機械でちっこいホコリを吸い込もうとする。
なにそれ、笑える。

もひとつ言われるまで気付かなかったのが冷蔵庫。
ダウンジャケットでも羽毛布団でも2重サッシでもいいけど、とにかく断熱に使われるのが空気。
熱を伝えにくいものの代表が空気、ということ。
その空気を媒介して冷やそうとしてるのが冷蔵庫。
そうかー。
そいえばそうかー。

…といったような、個人的に目からウロコな話が他にもいろいろ載っていて、そして「そうじゃない」非電化な製品もいろいろ紹介されてる。
電気を使わない冷蔵庫(真夏でも氷ができるらしい)とか、どんな仕組みになってるか気になる人も多いんじゃないかしら。

自身の発明品の他にも、「昔ながらの良製品」の数々も紹介されていました。

さらに面白かったのが、これらの非電化製品が、アジアやアフリカで実際に役立っているというお話。
太陽熱を集めて高温にして水を殺菌するとか、パオで暮らすモンゴルの人用の冷蔵庫プロジェクトとか。

ちゃんと考えてる人のちゃんとしたアイデアがちゃんと受け入れられていることにちょっと涙。

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