こらない

2007-03-18 (日)

KUDAN Project『美藝公』

bigeikou.jpgKUDAN Project『美藝公』@下北沢ザ・スズナリにイッテキマシタ(2007-03-17)。
とりあえずネタバレなしの方向で。
傑作でした。

前作『弥次喜多』、前々作『くだんの件』と評判が高く、あちこちからも絶賛を受け、再演の度に動員を増やしていったKUDAN Project。
果たしてこのあとどんな作品を持ってくるのか、期待と不安が半々。

原作の『美藝公』では、あちらの世界(物語内の“映画立国”という仮想世界)からこちら側の世界(アタシたちの暮らす“経済立国”の世界)を見返すという構造。
一瞬これは天野演劇との親和性が高そうに見えるけど、実際のところそういう構造はすでに過去の作品で行なわれている。
いわゆるメタな視点も混ぜ込み、アタシの弱めな想像力からすると、やり尽くされている印象。

これ以上、どう反転させるというのか。
これ以上、どう壊すというのか。
これ以上、何をどう終わらせ、どう始めるというのか。

そう、『くだんの件』で、すでに何もかも終わっていた。
舞台装置はすべて撤去され、終わったというより、終わっていたというより、何もなかった。
そして『弥次喜多』で、2人の主人公はイセを目指して出発し、しかし進まず、そして終わる。
今回の『美藝公』は、その終わったあとの何もない世界、という印象。

始まりから終わりに直線(曲線でもいいけど)をひくと、どうしても始まりの1点と終わりの1点が存在してしまう。
今回の作品は、その終わってしまった終わりの1点の中の、その無限に小さい世界の中だけの世界、という印象。
いや、違うか、どちらかというと、始まりの方の1点、と言った方が正確だ。

夢だ現実だ、生の演劇だ、メタだ、イリュージョンだ、とやり尽くしたあとに現れた世界とは…。

というわけで、すでに名古屋公演を終え、3月16日(金)に始まった東京公演は、来週の水曜日(祝日)まで。
終演後の挨拶によると、各公演ともまだチケットに余裕がある様子(特に平日の月曜火曜?)。

KUDAN Project チケットオーダーページでは、各ステージとも前日までウェブ予約を受け付けているようです。

2007-03-18 (日) UP

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