こらない

2009-01-20(火)

NHKスペシャル「女と男 最新科学が読み解く性」の第1回「惹かれあう二人」を見た

NHKスペシャル「女と男 最新科学が読み解く性」全3回の1回目のを見た。
タイトルは「惹かれあう二人」。

楽しみにしていたのだけど、内容は数年前にベストセラになっていた『話を聞かない男、地図が読めない女』に書いてあることと一緒だった。
実際に実験とその結果が見れるのは面白かったけど、知ってることばかり。

でもせっかくメモったので、書いとく。

MRIで「現在ラブラブなお相手」と「そうじゃない人」の写真を交互に見せると、男女とも同じ腹側被蓋野(ふくそくひがいや)に反応が見られる。
これはドーパミンがつくられるところ。

逆に扁桃体や頭頂側頭結合部では、反応が弱くなる。
これらは、批判や判断を行なうところ。

つまり、まさに「恋は盲目」状態。
恋人を見るとドーパミンが出る上に、批判や判断はにぶり、「相手を受け入れざるをえなくなる」。

以上は男女共通の脳の反応の話。
続いて、男女で異なる反応は以下。

男性だけに反応が見られるのは島皮質というところで、ここは視覚に関係していると云われている。
番組によれば、「相手の女性が健康的な赤ちゃんを産めるかどうかを、視覚から瞬時に判断している」と。
その判断のひとつが「ウエストとヒップの比率」で、これが7:10なのがベストだという研究結果の紹介。
全体的に細めの人が好みだろうと、太めの人が好みだろうと、ウエストとヒップが「7:10」になっている体型を選ぶ場合が多く、また多くの著名な絵画や彫刻のそれも、平均するとその比率になっている、と。
ちなみに、ウエストのくびれは初潮と共に始まるらしい。

女性だけに反応が見られるのは帯状回というところで、これは記憶に関係していると云われている。
つまり女性は「相手が何を約束し、それを果たしてくれたかどうか」を見ている、と。

数百万年前。
二足歩行が始まり骨盤が変化し、これが出産に作用し、私たちの祖先は未熟児のまま子どもを産まなくちゃならなくなった。
そのため、子育てを行なうパートナーを必要とするように。
ほ乳類の中で、“つがい”で子育てをするのはわずか3%。
人間の子育ての仕方は、特殊。

ところで。
(恋愛の)熱が冷めるのは、1年半から3年という統計結果がある。
これは、赤ちゃんを産んで育てて、3歳を越えたあたりで育児が一段落するのと関係があるかも。

狩猟採集社会では、出産は4年周期だったらしい。
子どもを産んで、3歳くらいまで育てて、そしてカップル関係を解消し、また別の恋が始まる、と。
こうして遺伝子的に多様な子孫を残そうとした。

上記の説を裏付けるように、世界58の地域を対象にした調査によると、離婚のピークは結婚4年目、とのこと。

ここでちょっと流れが変わって。
ではどうしたら、離婚せずに済むか。

アメリカのとある研究者によると、夫婦のすれ違いの原因は会話のパターン。
夫婦がこれから4年以内に離婚するかどうかは、15分の会話を分析するだけで、85%の確率で予測が可能、と。

で、実際の映像。
お互いに相手に対する不満を話してもらう。
ここで、ケンカになる夫婦とならない夫婦がいる、と。
ケンカになる夫婦は、「男性が批判し」「女性がそれに対し防御し」「そして男性が相手を見下す」という「批判→防御→見下し」のパターン(男女は逆でもOK?)。
このパターンが繰り返されるとお互いを避けるようになり、これが離婚に至る典型的なパターンだと。

面白かったのは以下。
口論が始まると、男性の心拍数は上昇する。
つまりすごくストレスを受けている。
対して女性の心拍数はさほど変わらず。
女性の方がヒステリーだったり感情的だと云われるけど、実際は逆だと。
母乳で子育てをする女性は、ホルモンの働きで気持ちを落ち着かせる能力が高い、らしい。
例えストレスを受け心拍数が上がっても、女性の方が早くそれが下がることが実験でも確かめられているとのこと。

男は狩りをしていた。
警戒を怠らず、警戒心を働かせねばならない。
ちょっとしたことでも心拍数や血圧を上げる。

また、男性は批判を“攻撃”と受け止めがち。
心拍数は上昇する。

研究から分かった、男女関係の障害となるものがふたつ。
ひとつ、男性が女性の気持ちを読み間違い、余計なことをしてしまうこと。

微妙な表情の写真を次々に見せて、それが実際にどんな感情を現しているのか当てる実験。
喜びとか悲しみとか憎しみとか恐れとか。
で、女性の方が早く正確に当てることができるという結果。
さらに、そのときの脳の働きを見てみると、女性ではその判断に1カ所、男性は2カ所を使ってる。
男性は2カ所も使っておきながら、なおかつ間違える。

以上、メモのまとめ終わり。
あとは、火星探索のために長期間を一緒に暮らす必要のあるグループで、「男性だけだと競争心が働き過ぎてチームを危険にさらすリスクがある」「女性だけだと必要以上にリスクを避ける傾向がある」「男女混合編成こそ最強」というNASAの実験など。

さて。
男グループが狩りをして、女グループが子育てをしながらそれを待ち、という生活が数百万年(!)続き、その子孫である私たちの脳は、未だに「その頃に適していた」男女それぞれの傾向を持っている、というのは先に挙げた『話を聞かない男、地図が読めない女』に書いてあるのと同じ。
あとはだいたいそこから導けるような内容で、番組ではその中のいくつかが「実験で実際に確かめられた」という内容。

そして今の社会は、4年周期で相手を取り替えていくような形になっていない。
狩りをするような生活でもない。

『話を聞かない男、地図が読めない女』を読んで面白かったのは、「じゃあどうしたらいいの?」という問いに関して「どうしたらいいんでしょうねえ?」って書いてあったこと。
つまり、現在の社会では答えが出ていない、と。

対して、今回のNHKスペシャルでは「男性が変わらなきゃいけない」と結んでいて、そこがちょっとひっかかった。
「男性 VS 女性」という対立構造なら別にそれでもいいけど、夫婦がどううまくやっていくか、というのなら、そこにもう一言「(男性の脳がこういう働き方をする、ということを)女性側も理解していると良いでしょう」くらい付けておくべきなんじゃないかしら。

普段は男性が女性をひっぱっていっているに見えて、いざとなると、あるいは結局のところは、男性が女性の手の平の上で転がされている、というのがひとつの理想の形じゃないかと思うのだけど、それってつまり上記のようなことかなあ、と。

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