こらない

2009-09-02(水)

客入れドキュメンタリィ

10日間も更新しなかったのは、ちょっと久しぶりかしら。
おおそうか、「夢+夜」東京公演開始あたりから更新してなかったか。

その間に撮影した写真をアップしてから更新しようと思ってたんだけど、なんかうちの環境が悪いのか何なのか、Flickrへの写真のアップロードがうまくいかなくて。
もう写真のことは忘れて、だらだら書こっと。

というわけで、少年王者舘『夢+夜』東京公演終演。
って、あれ? もう1週間も経つのか。

ここ数年そうなのだけど、今回も客入れのお手伝いで参加。
夏休みを利用して、全日べったりと。
「客入れ」ってお客さんからしたら失礼な用語よね、お客さん向けには「場内整理」あるいは「場内誘導」。

せっかくなんで、ドキュンタリィ風に書いてみようかしら。
とある日の客入れ、というより、いろんな日の出来事を混ぜたフィクションで。

開演2時間前、小屋(劇場)入り。
役者が返し(復習)をしてるのを横目に、舞監(舞台監督)と客席作りおよび誘導の打ち合わせとシミュレーション。
ロビーでは他のスタッフが、当パン(当日パンフレット束)にペグシル(使い捨て鉛筆)付け作業。

票券(チケット)担当者から、今日のスタートはXXX人、との連絡。
チケットぴあ、イープラス、劇団前売、ウェブ予約、電話予約、劇団員手売り予約、招待客を合わせた数。
これに、当日券の見込み数を足した数が、今日の予想入場者数。
そこそこ混み合った昨日よりもさらに多い。
そんなわけで、さすがに今日はインカム(トランシーバ)が必要、ということに。
インカムは、ヒマな時はいいけど、忙しい時に音声が入るとわけが分からなくなるので苦手。
でも、今日は仕方なさそう。

返しも終わり、もうひとりの客入れ担当さんと2人で、客席作り。
お客さんの数によって、毎回客席の組み方を変えてる。
今日は、各列を少しずつ詰めて、1列増やす。
全席が埋まった時点で、いちばん奥の通路を埋めて、次に最前列に桟敷席を追加、最終的に手前の通路を「座り席」にするか「立ち見エリア」にするかは、その時の判断、ということに。
ところどころ通路のパンチ(固い絨毯みたいなシート)がめくれあがっていたので、舞監さんに始末をお願い。

改めて実際の客席数を数えて、計算が合っていることを確認。
そして、今日は当日券のお客さんは全員立ち見(の可能性があり)だということを受付担当者へ連絡。
これがもう少し余裕がある場合は、「当日券20人までは何も言わずに精算してそのまま入場、そこから15人は立ち見の可能性ありで了承を取る、さらにそれ以上はキャンセル待ちで開演ぎりぎりまで待っていただく=精算待ち」といった連絡になる。

開演1時間前の少し前、1階の受付ボックスにて受付開始。
ウェブ予約や電話予約等の当精(当日精算)のお客さんは、ここで精算して入場整理券を受け取る。
この日は、受付開始前にお客さんがズラーっと並び、そのプレッシャに耐えられなくなり(ではなく、お客さんをお待たせしては悪いと思い)、予定時間前に受付を開始したもよう。

この頃2階では、別のスタッフや役者さんがロビーや客席やトイレの清掃。

しばし受付付近で、お客さんへの案内。
「受付はこちらですー」と声を出すのも大事だけど、実際は不安そうなお客さんを見つけて「あなたはここにいて大丈夫ですよ」とか「まだ時間があるから、日陰を探して休むなりそこらを散歩してきたりすると良いですよ」といったことを伝えて安心させる役目。
お客さん対応は、杓子定規にならず、個々のお客さんの顔色を伺うのがキモかしら。
分かってるから放っておいて欲しい人、よく分からないから一から十まで説明が欲しい人、いろいろ。

開場時間5分前。
お客さんに整理番号順に並んでいただく。
このあたりの時間は、「どこに並ぶのか分からないお客さん」「まだ受付してないお客さん」「道路にはみ出ちゃうお客さん」「全然関係ない通行人」等が入り交じっているのを誘導するためにスタッフが一斉に声を出し始めて、急に活気が出る。
うるさいともいう。

ほどなくして開場時間。
呼び込みが始まる。
とにかく、最後尾が道路にはみ出るのだけは早急に無くしたいので、20人くらいずつどんどん入場して欲しいのだけど、呼び込み担当がなぜかものすごく小刻みに呼び込みしてて「(なんでー?)」と心の中で叫ぶ。
しかも、「13番から17番の整理番号のお客様」みたいなことを言ってて、その刻み方は何なんだ。
そもそも「13番から」の部分は要らない。
でもまあ、人それぞれ考え方があるんだろう。

最後尾が道路にはみ出さなくなったのを確認して、客席へ。
席が埋まり切らないうちは誰しも余裕をもって座るので、ひとりずつ声をかけてセンターへ寄っていただく。
すぐに移ってくれる人(ありまとう)、がんとして譲らない人(それはそれで良いのです)、ものすごく嫌な顔をして全然違う席へ移動していってしまう人(なぜ?)、さまざま。

開場15分後、並んでいたお客さんがひととおり入り終わり、このあたりでちょっとお客さんが途切れる。
すかさず、トイレアナウンスと荷物預かりアナウンス。
さらに、「『あいよー』本日はご来場くださいまして、誠に申し訳有りません。ではなく…」と録音アナウンスも流れる。

今回、演出の都合上、荷物を足元に置いて欲しくなかったので、当初「お荷物はヒザの上に(それが邪魔なら預けて)」というアナウンスをしてみたりいた。
演出の都合上、ということはネタバレになるので言わずに。
そしたら、それは意外にも聞き入れられて、お客さんは皆荷物をヒザの上に置いてくれた。
おー素晴らしい、と思ったのだけど、開演の暗転と同時に、皆荷物を足元へ下ろしてしまったのでした。
ふはははは、まあそりゃそうだ。
アタシでもたぶんそうする。

あと、どうでもいいけど、このくらいの時間まではお客さんの顔を判別できる。
友人知人が来たら、小声で「おー、久しぶりー」くらい言えるし、友人知人かどうかは問わず「そのあたりの席がおすすめですよ」と言ってみたりも可能。
あと、ケラさんとたまきさんだーとか、マルタさんだー知久さんだーとか、久住さんだー宮台さんだーとか。
逆にこの時間を過ぎると、もうそういう余裕がなくなる。
とり・みきさんとか馬渕英里何さんとか、気付かなかったなー。

開演5分前あたり。
ここが一番の山場。
すでに客席が埋まりかけ、自身が奥の方で身動きが取れなくなってきたところへ、インカム経由で未着数(予約済みだけどまだ来ていない人の数)の連絡が入る。
その数と、その時の客席の空席数で、当日券のお客さんをどうするか決定しなきゃいけない。
が!
「未着数30です」とか言ってる。
おかしい。
そんなに空席はない。
計算が合わない。
4秒くらい考えて、その情報は「何かの間違い」ということにして、忘れることにする。
「当日のお客さんは、とりあえず10人です」
「入れてください」

すでに客席はほぼ埋まっていて、ところどころに空席がひとつずつある状態。
それらの席へ、順にお客さんを案内していく。
けど。

なんでだか分からないけど、開演ぎりぎりに来たお客さんになればなるほど、いろいろと注文があるのでした。
「2人並びの席で見たい」
「足が悪いので、ちゃんとした席を用意して欲しい」
「妊婦なので、出入口に近い席を」

このうち「2人並びで」「3人一緒に」というお客さんは毎年毎回多くて、それに対して「ご覧の通り、あとはこことそこの席しかございませんので」と説明すると、「えー、どうするー?」と相談しだす人が多いのでした。
どうするも何も、その先には他に選択肢はないのですけど!
というか、もう開演時間過ぎてるし!

ちなみに、足の悪い方や妊婦さんや、その他もろもろの理由のある方は、予約時や来場前に連絡していただければ、ちゃんと考慮した席を用意しますので、ぜひ事前にご連絡を、と劇団制作組より。

ところで、書き忘れていたけど、客席は自由席。
そして区切りのないベンチシート。
つまり、個別の席ではない。
詰めようと思えばいくらでも(いくらでも?)詰めれる。
で、一応、シートの上に座布団が敷いてある。
1枚の座布団に1人のお客さんの計算。

アタシにとっては小劇場の客席っていうのはそんな感じのものっていうイメージなのだけど、実際には今はもうベンチシート席っていうのは少ない。
市川さんに訊いてみたところ、現在スズナリでベンチシート席にしているのは、少年王者舘とあと1団体だけらしい。
そして、鉄割アルバトロスケットだけが総桟敷席とのこと。
そうそう、そいえば桟敷だった。

さて、すでに開演時間。
舞監さんが遠くで5本指を見せてる。
「5分押します(開演を遅らせます)」の意味。
未着があまりに多いか、ちょうどこの時間に来たお客さんが受付に行列して精算してるか。

開演が押すと、照明、音響、映像のそれぞれオペレータ、演出家、そして裏でスタンバってる役者からの無言の緊張が伝わってくる、…なんて余裕はそれほどなくて、でもただただ焦る。

などと勝手に焦っていたら、客席は客席で開演時間を過ぎたというのに、満席の中、次々にトイレへ向かうお客さんが!
うおお、なぜ今。
いやもちろん上演中に席を立たれてしまうよりはマシだけど!

お客さんが戻り、その間にちらほら遅れたお客さんも入場し、ついに開演。
再度、上演前アナウンスが流れ…

…たと思ったら、次の瞬間、特に客席前方から、どよめきと小さな悲鳴が。
そりゃ、びっくりするかも。
その後、計3回、空から降ってくるわけだけど、よくもまあ毎回ちゃんと「空から降って」これるものだと驚愕。

ってところまで見届けて、外へ。
上演中に電話が鳴らないようにロビーの電話の受話器を外し、あとは遅れてくるお客さんの対応。
それから、上演中に気分が悪くなったりトイレに立ったお客さんの対応。
あと、預かった荷物の中の携帯電話が鳴りだした時の対応。
あとはぼーっと荷物番。
たまに受付ボックスを覗いて、集計をしている受付スタッフの邪魔をしてみたり、差し入れのお菓子を盗み食いしたり、入場者数を確認したり。

ちなみに今回は、楽日(公演最終日)が火曜日。
これが日曜日だと、「土日の混雑」と「楽日の混雑」が重なって、たいへんなことになるのだけど、今回はそれが緩和されてた。
重なってたら、全員入場は無理だったかも、と思うのだけど、昔はもっと入れてたよなー、とか。
今、昔みたいに詰め込んだら、苦情爆発だろうか。
でも、この前のスズナリでの『平太郎化物日記』の時は、今回いちばん混雑した日にさらにプラス50人入ってたんだよなー、とか。
プラス50人って、考えられない。
その時の客入れも自分だったけど、どうやって入れたのか覚えてない。

いちばんやっかいなことってなんだろう。
特定のお客さんに捕まって延々と説教されるとか、目の前でドラマの撮影が始まるといった特殊な事例はさておき、よくある例だと、「あとから遅れて友人が来るんで」かなー。
「あとから遅れて友人が来るんで」のうしろに続く言葉がいろいろで、それぞれ対処が違うのが面倒。

「あとから遅れて友人が来るんで、それを待ってから一緒に入場する」
「あとから遅れて友人が来るんで、その人にチケットを渡して欲しい」
「あとから遅れて友人が来るはずだけど、まだ連絡がとれない」
「あとから遅れて友人が来るんで、この席を確保しておきたい」
「あとから遅れて友人が来るんはずだけど、まだ分からない」
「あとから遅れて友人が来るんだけど、もう開演時間」
「あとから遅れて友人が来るんだけど、チケットはその友人が持ってる」
とか。

わ、ちょっとだらだら書き過ぎた。
ここまでにしますー。

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